浦島太郎のあらすじと教訓。物語に秘められた謎に迫る!
皆さんご存知の浦島太郎。
僕も子供のころ何度も何度も読み聞かせてもらった記憶があります。
大人になってから物語についてふと考えるきっかけがあったのですが、どうも結末がよくわからない。
よく考えてみてください。
浦島太郎って、亀を助けて竜宮城に案内され宴を楽しむところまではいいのですが、地上に戻ると知り合いはみんな死んでしまっています。
いやいや、これどんな罰ゲームなんだよと。
乙姫様何してくれてんの?と物語の矛盾に気が付いたわけです。
ということで、どうして浦島太郎はこんな物語になっているのか、今回はその謎を解き明かしていきたいと思います。
浦島太郎のあらすじ
よく知られた物語ですが、大人になってからすっかり忘れてしまっている大きなお友達も多いと思うので、ここはあらすじから復習しておきましょうか。
- 浦島太郎は漁師として生計を立てていた。
- ある日浜辺でいじめられている亀を助けてやる
- そのお礼に竜宮城へと招待され、乙姫様から盛大にもてなされる
- 暫くは宴に酔っていた浦島だが、地上が恋しくなり帰ろうとする
- その際乙姫様から「玉手箱」をもらい、地上へ帰る
- 地上では何年もの時がたち、浦島のことを知る人間は一人もいなかった
- 玉手箱をあけた浦島は煙に包まれ、老人の姿になってしまった
といった流れです。思い出してくれましたかね?
中には「浦島太郎は鶴になった」というパターンもありますが、大体の流れは上記の通りだと思います。
では、あらすじをつかんだところで浦島太郎の教訓を考えていきましょうか。
浦島が罰を受けた?
まず、老人になったということを浦島太郎が罰を受けたとも取ることができます。
…いやいや、ちょっとまってよ。
浦島太郎は亀を助けてるじゃん。悪いこと何もしてないじゃん。
って思いますよね。でも少し視点を変えると、浦島は確かに罪を作っています。
浦島太郎は漁師ですから、もちろん魚を釣って生活をしています。
それは何百・何千という魚の命を奪ってきたのも同じ。その点で浦島太郎は罪を作っていると言えます。
「一寸の虫にも五分の魂」という言葉があるように、魚でも亀でも人間でも命の価値は平等であると仏教では考えられています。
その考え方に則ると、浦島は1度亀を助けたくらいではまったく帳消しにできないほど、たくさんの命を奪ってきたと言えます。
そして、同じく仏教の考えに則れば、私たちの人生は良いことも悪いことも「自業自得」です。
良いことすればよい結果を受けるし、悪いことすれば悪い結果を受けないといけないという意味です。
浦島は確かに亀を助けたという良いことをしたから、乙姫様の歓待を受けたのですが、それとは別に今までつくりにつくってきた罪の償いとして孤独な老人になったとも解釈できるのです。
感覚のズレもあったのでは?
もう一つ気になる点としては、なぜ乙姫様は「絶対に開けてはいけない玉手箱」を浦島太郎に渡したのかということです。
開けるなよ!ぜったい開けるなよ!
というダチョウ倶楽部的なコントをしたかったわけじゃないでしょうに、なんでこんな危険物を渡しちゃったんでしょうかね。
ここには乙姫様の感覚のズレもあったのではないかと思います。
竜宮城は言ってしまえば異次元にある場所です。僕たちの住む世界とは異なり、永遠の生命をもった存在が住まう世界。
外国よりも遠い場所に暮らす乙姫様は、僕らと同じ感覚で過ごしているでしょうか。
答えはおそらくノーです。
多分、乙姫様的には浦島太郎を「ちょっとの間」もたらしたくらいの感覚だったのでしょう。また、「亀の命の恩人に対する最大限の感謝」として玉手箱と言う宝物を渡したのだと思います。
もう一つ付け加えるなら、竜宮城は仏教で言う「天上界」に近い場所だと思います。
そして天上界には「嘘」というものが存在しないとされています。
乙姫様は浦島太郎に「絶対開けないでください」と玉手箱を渡しました。
これは僕らからすれば約束を破って開けたくなってしまいますが、乙姫様的にはもう浦島は絶対に開けることはないだろうと思ってのことだったのではないでしょうか。
嘘のない世界の住人と嘘がある世界の住人とでは、同じ言葉でも意味が違ってしまうことがあるのです。
という風に考えてくれば、乙姫様は最大の善意をもってもてなし、お土産までくれた。
だけども、浦島太郎は悲しいことにただの人間だったという解釈もできます。
まとめと感想
こんな感じで今回は浦島太郎について考察してみました。
説①:浦島太郎の「自業自得」
説②:乙姫と浦島の感覚の違い
といったところでしょうか。
もう一度読み返してみて思ったのは、非常に仏教的な要素が強いお話だということ。日本の物語にはこういう傾向は強いですが、幼少期に読んだ浦島太郎もそうなんだなと再発見した気分です。
大人になってから読み返してみると面白いですね。
物語を考察するシリーズはこれからも続けていきたいと思います。