「迷い家」って何なん?元ネタとその影響を考察してみた。
こんにちは。輝國です。
僕は結構オカルト系の話が好きで、毎日といっていいほど「不思議ネット」さんの記事を読んでます。
ちょっと病んでた時は本当に1日中読んでいたこともありましたね。暗い部屋のなかベッドの上でニヤニヤして記事を読んでいる姿は今考えると完全にヤベーやつだわ。
さて、今回テーマにしたいのは「迷い家」って何なん?ということ。
オカルト系の話を読んでいてもたまーに見かける話ですが、元ネタとか影響された作品とかあるのか気になったので調べてみました。
「迷い家」とはどんな話なのか
まずは「迷い家」と呼ばれる話はどんなパターンなのかザックリと紹介します。
あらすじとしてはこんな感じ。
- 主人公が山の中で道に迷う
- なんだかアヤシイ屋敷が突然現れる
- 屋敷の中にはお宝がある
話のパターンはいくつかあり、「迷い家に踏み入ったら帰ってこれない」とかいう風に悪いものとして扱われることもあれば、「屋敷は宝を与えるために姿を現す」などといった良いものとして語られることもあるようです。
まあ、パターンが多いのはどんな話でも同じだと思うけど、実際遭遇したらどうすりゃいいんだって話だよね。多分、僕は突撃して呪い的な何かをお持ち帰りそうだねーとか思ったりもします。
さて、そもそもこの「迷い家」という話はどこから出てきたのかちょっと調べてみましたよ。
元ネタは「遠野物語」っぽい
いま知られている「迷い家」の話だけど、どうやら元ネタは「遠野物語」みたいだね。ここら辺詳しく知りたいゾって方は覚悟してめっちゃ詳しく書いてあるWikiを読んでほしい。
「遠野物語」といえば柳田邦夫が東北地方(岩手県)の伝承を書き記した民俗学の本として有名。この本には他にもいろいろ妖怪の伝承が載っているのだけれど、「迷い家」もその一つ。
ちなみに柳田さんが書いているバージョンは「迷い家」は何かを持ち帰らせるために存在するもので、茶碗を持ち帰った人は村一番の金持ちになったそうな。
1人のひとの前に1回しか現れることがなく、なんか異世界との波長が合う人でないと現れないんだとか。めっちゃ遭遇してみたいね。
みんな知ってるあの話も迷い家?
「注文の多い料理店」
迷い家について色々調べてみたけど、そういえばアレってと思い付いたものがある。ピンときている鋭い読者の方もいるかもだけど、思いついたのは「注文の多い料理店」だった。
いやいや、それって猫に食べられそうになる話じゃね?って思うかもしれないけど、そういえばアレは「迷い込む話」だった。もう話なんて忘れてしまったぜ!っていう大きなお友達の為に3行であらすじを紹介しておこう。
- 2人の男が山に入るが道に迷ってしまう。
- 突然2人の前に「山猫亭」というレストランが出現した。
- 喜んで入った男たちだが、化け猫に食べられかけ逃げ出した。
思い出してくれたかな?
「注文の多い料理店」は宮沢賢治の作。そして宮沢賢治といえば岩手県の石巻の出身だ。たぶん彼は「遠野物語」を読んだか、地元に伝わる話を知っていたかのどちらかじゃないかなと思う。
猫の印象が強いけど、男たちは山の中で迷い、その前に立派な建物が現れるという流れはまさに「迷い家」そのものだよね。
ちなみに「注文の多い料理店」は改めて読んでみると、結構怖い話だった。コミカルに描いてあるけど、男たちの結末は悲しいものなんだ…
「舌切り雀」
「注文の多い料理店」よりももっと古くて知られたお話しとして、「舌切り雀」があります。こちらは教訓話としての意味合いが強いけど、そういえば「雀のお宿」も山の中で突然姿を現すものでした。
善良なおじいさんと性悪なおばあさんはどちらも雀のお宿にたどり着いたけど、おじいさんは金銀財宝を持ち帰った一方で、おばあさんの葛籠には毒虫がつまっていた。
因果応報、強欲は身を亡ぼすということを伝える話だけど、「雀のお宿」は一種の異世界にあって縁があった2人が見つけられる「迷い家」だったとも解釈できるね。
ホントなんでおじいさんはあんなばあさんと結婚したのかといつも不思議なんだけど、誰かいい説明を思いついたら教えてほしい。
まとめ
「迷い家」自体は古くからある伝承をくみ上げた柳田邦夫の「遠野物語」が基礎にありそう。そしてそれにともなって「注文の多い料理店」のような短編や派生パターンがいくつもできていったのでは…?と感じました。
もちろん、先ほど例に挙げた「舌切り雀」の「雀のお宿」のように、古くからこういう形の話があったのは間違いないと思いますけどね。
こうやって考えてみるとほんと面白い。時間があるとき、子供のころ読んだ話も読み返してみたいなと感じます。